福島県の古殿町(ふるどのまち)にあるハンドバッグメーカー工場。1964年設立の藤美屋(ふじみや)が製造する自社オリジナル製品を販売。バッグや小物など革製から布製まで幅広く手掛けます。
藤美屋(ふじみや)について
創業者と藤美屋の歩み
創業者の佐藤光治は東京の日本橋で生まれ、3歳の時に父親を亡くし母親に育てられました。
その当時、母親からは「男は手に職をつけておかなければ」という教えを受け、
中学卒業と同時に袋物製造業の現場で小僧として、いわゆる丁稚奉公として働き始めました。
■1949年
15歳で袋物製造業の佐倉工業に勤め始める。
■1956年
勤務のかたわら、袋物の製造工房「藤美屋」を創業。
■1961年
千葉県の佐原に設立されたアイドルバッグの工場長に就任。
■1964年
30歳で独立し「株式会社藤美屋」を設立。
■1973年
株式会社藤美屋を経営するかたわら、1982年まで約10年間にわたり東京都の心身障害者職能開発センターで技術指導に従事。
1956年の創業当時は東京都中央区の永代橋近くに工房を構えました。
16坪の平屋の8畳一間のスペースに3台のミシンを並べ、創業者を含め3人の職人。
ここから藤美屋はスタートしました。
藤美屋を創業後は、企画・デザイン・制作などに情熱を注ぎ、全力で取り組む日々を送りました。
自身が手がけたハンドバッグを携えた人に出会った時の感動は、言葉には表せないほどの喜びだと語ります。
また、自身の妹が幼少期の高熱による後遺症で障害を抱えており、
社会的にハンディキャップのある人たちに関心を持ち、積極的に指導し雇用への取り組みを行いました。
創業者が心身障害者職能開発センターで技術指導をしていた当時、技能を習得した卒業生であっても働く場は限られていました。
自社でも率先して雇い入れ、多い時では従業員数の3割にものぼりました。
個々の長所を生かすチーム運営や作業ラインの見直し、障害に応じた機械類の改良など、
対人関係の面でも設備の面でも労働環境を整えることに尽力しました。
東京の足立区や埼玉県の八潮市に営業所や工場を展開し、
その後、福島県の古殿町に1,200坪の自社工場を建設「古殿アネックス」を設置しました。
現在は古殿アネックスに機能を集約しつつ、埼玉県の草加市に営業所を設けています。
古殿アネックス
古殿アネックスは、株式会社藤美屋のハンドバッグの製造工場として1992年4月に操業を開始しました。
敷地面積は3,960平方メートル、建物の延べ面積は約660平方メートルです。
木造の一部二階建てで、大きな三角屋根が特徴です。
玄関をくぐると吹き抜けの天井の下にホールが広がり、木の温もりを感じる造りになっています。
創業者の「良い環境で良い品物を作る」という想いから、こだわりをもって建てられました。

工場内は大まかに3つの部署に分かれています。
まず、主材料である革や生地などを裁断し、革漉きを行う部門。
次に、裁断したパーツのコバ(裁断面)の処理や、素押し・箔押しなど様々な加工を行う部門。
最後に、これらのパーツを組み立て、縫製して製品を完成させる部門。
材料の調達から製造まで一貫した生産体制を備えた拠点として、
革製のフォーマルなバッグから布製のカジュアルなバッグまで幅広い実績があります。
当工場のある古殿町は、福島県の中通り南東部に位置します。
白河と小名浜を結ぶほぼ中間にあり、郡山から車で約1時間の距離。
山々の連なりと緑が美しく、農業と林業が盛んです。
また、笠懸・流鏑馬(かさがけ・やぶさめ)という神事が受け継がれ伝統が息づく町です。